シンポジウム「文化芸術は誰のもの?」参加者レポート②
河野千晶( ダンサー/エンタメトレーナー)
私は普段、ダンサー/エンタメトレーナー/振付家/WSファシリテーターとして活動しています。コンタクト・インプロビゼーションを通した若手表現者の活躍の場の創造、エンタメトレーナーとして表現者の身体の使い方をサポート、コミュニティダンスを通して地域の方と繋がる、また助成金を申請し公演の企画を行うなど、文化芸術を仕事としています。
芸術、私にとっては主にダンスを仕事にすると決めてからそれなりの年月が経過し、自分は当たり前のように文化芸術に関わっていると思って生きてきましたし、コミュニティダンスなどを通し、普段踊らない人の体の中にもダンスが溢れていたので、万人は気づいていてもいなくても文化芸術に触れているのものだと思っていました。
しかし、今回のシンポジウム「文化芸術は誰のもの?」という問いに、それは驕りであったと気づかされました。講演の中でも触れられていた、コロナ禍で叫ばれた「不要不急」の単語は、文化芸術が必要がない人もいると断言されたような衝撃を受けました。それでも、皿を洗っているだけで、草を刈っているだけでもダンスだと感じてしまう私には、生活も文化も芸術もどうやって切り分けたらいいのかわからなく、生きている限り皆、文化芸術の中にいるように感じています。ただ、それぞれの視点が違うだけで、不要不急と叫んでいた人の中にも気づかないうちに文化芸術は入り込んでいるのではないでしょうか。
一方、「文化芸術は誰のもの?」の問いに、助成金を申請する企画の立場から考えると、企画をしていくうちに、本当にやりたかったことなのか、申請が通るようにお金をいただくための項目をクリアするためにやっているのかがわからなくなることもあります。
この問い自体が多面的・多角的に捉えられるものだと感じたので、今後もシンポジウムの「おかわり」を通して多方面の方と話しながら、考えられる視点を広げていきたいと思います。