『観客を楽しませる「仕掛け」がありました。』

どうにもアンケートというものが苦手です。それは、私が人一倍文章を書くことが遅いからでして。観劇後の客席で、サササッとアンケート用紙に感想を書き留めるなんて芸当は、私には出来ません。

そんな私が、弦巻楽団『君は素敵』のアンケートに「久しぶりに札幌で楽しく演劇を観ました」と書き残したらしいのです。えっ、ほんと……おそらく本当なのでしょう。なにせ10年も前のことですから、覚えていません。正直、どんなストーリーだったのかも、あまり覚えていません。関係者の皆さん、ごめんなさい。
けれど、見終わって「楽しかったな」と思える作品であることは確かです。ここですかさず「覚えてねーんだろ！」という突っ込みが入るわけですが、人間の頭にはストーリーを記憶する脳細胞がありまして、そもそも私の場合それらが死滅しています（これを「開き直り」
といいます）。それでは私は何をもってこの作品を評価したのかといえば、「仕掛け」です。エンターテイメント作品では観客を楽しませる物語の構造が必要とされます。この作品には、その「仕掛け」がありました。それだけは覚えています。