アイヌ影絵「NOCIWCIP~ほしふね」レポート②
from しらおい創造空間「蔵」

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今回レポートを寄せてくれたのは、アイヌ影絵「NOCIWCIP~ほしふね」道内5か所ツアーの2つめの会場、しらおい創造空間「蔵」のスタッフ・栗栖マキさん。
道内有数の湯量を誇る良質な温泉や2020年にオープンしたアイヌ民族の文化を今に伝えるウポポイ(民族共生象徴空間) などで知られる白老町。しらおい創造空間「蔵」は、このまちの歴史を物語る大正時代につくられた軟石づくりの蔵をそのまま活用した創造と発信の場として、地域の芸術文化を支えています。JAPAN LIVE YELL project in HOKKAIDOでは昨年もアイヌ伝統歌の再生と伝承をテーマに活動する女性ヴォーカルグループ「MAREWREW」の公演などでお世話になりました。
レポートでは栗栖さんが余すところなく本公演の魅力を語ってくれています。ぜひご一読ください。
しらおい創造空間「蔵」・栗栖マキさんのレポートは以下のとおりです。

「夢とうつつの間を漂いたい」

しらおい創造空間「蔵」 栗栖マキ

 今回のアペトゥンペとほしふねによるアイヌ影絵の公演は、4つの地域にあるそれぞれ特徴のある5つの会場で行われます。先日行われた事前インタビューでは他会場の関係者の方々のお話も聞くことができ、またインタビューに答えてくれたマユンキキさんとほしふねのお二人の「ベースとなる物語は同じでも会場の持つ空気や観客によって作品のイメージが違ったものになってくると思う」という話を聞いてしまうと「これは全会場で観てみたい!」との欲求が高まりました。
 私の在籍する「しらおい創造空間蔵」へ下見に来られた際の上演する場に対する3人の丁寧な確認やイメージを膨らませていた様子を思い出し、これはその場その場で本当に面白いものが観られるに違いない!と思わずにはいられません。

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 個人的には、今まで名前は聞いていても訪れたことのなかった他の会場へ足を運ぶきっかけになりそうなことも今回のインタビューに参加して良かったことのひとつです。
 インタビュー内で繰り返し語られていたのが「マユンキキの声の心地良さ(気持ちがよい、眠くなる)」と「アペトゥンペによるウポポと影絵が作り出す世界の相性の良さ」。心地の良い声・歌と、幻想的な影絵の相乗効果で夢を見ているような物語の世界にひたる時間はどんなに気持ちの良い時間なんだろう。むしろ眠ってしまってもいいんです、なんて言われると、あまりの気持ちの良さによだれを垂らしながらうつらうつらしている自分を想像してしまいます(笑)。
 少し暗いイメージのある蔵の会場では、心地良い夢が見られるのか、表皮がざわざわするような悪夢へと導かれてしまうのか。どちらになったとしても、体験したことのない時間になることは間違いないでしょう。とても楽しみな公演です。

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アイヌ影絵「NOCIW CIP~ほしふね」の公演情報はこちら
※チケットはお電話で予約できます(北海道演劇財団 TEL.011-520-0710まで)
しらおい創造空間「蔵」公式サイトはこちら