劇団紹介

劇団 風蝕異人街 劇団 風蝕異人街

札幌、アトリエ「阿呆船」を拠点に東京でも活動。寺山修司作品の上演を目的に1997年旗揚。アングラ魂を内包しつつ質の高い作品創り、独特の妖しさと色彩感覚を放つ演出が定評。
2015-夏の『青森県のせむし男』では初日を待たず全ステージ、チケット完売の快挙を達成。利賀演出家コンクール優秀演出家賞受賞を機に翻訳劇、古典劇も上演。2018-夏のギリシャ悲劇『トロイアの女たち』では圧倒的な身体性による群集劇を確立。道外での評価も高く演劇祭への招聘も増えている。身体訓練メソッドに取組み、ワークショップも開催。2012・2013年韓国での演劇祭に招聘され無言劇を上演。

website : https://fushokuijingai.wixsite.com/fushoku

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こしば きこう

こしば きこう

劇団 風蝕異人街 主宰
劇作家・演出家

これは誰にでもわかるエンタメ的寺山作品である。
『青森県のせむし男』において、寺山修司は東北の土着性を描くため、思想としての故郷を脱出し、その遺棄を図って還らざる決意を自らに課した。この作品で描かれた寺山の貪欲で清冽な触手とその感覚は、彼の思想と共に寺山の言葉を練磨しているのだ。そしてこの作品は、現代のギリシャ悲劇のごとくに「子殺しのカタストロフィ」で一致している。父は常に死者であり哀れな存在であり、時として軽蔑と揶揄の対象であった。だからこの物語で母と息子の関係は、結語として今日的な子殺し的惨劇が暗示されているのである。だが、せむし男松吉はまぎれもない不具者であり、先天的に罰せられた一人の息子の象徴としてのその笑みによって自分の母親を罰するのである。

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