ごあいさつ

ごあいさつ

荻谷忠男実行委員会委員長

札幌演劇シーズン実行委員会委員長

荻谷 忠男

公益財団法人北海道演劇財団理事
北海道テレビ放送相談役

 札幌演劇シーズンは今回が11シーズン目です。毎年冬、夏に、一か月間の公演を始めて5年が経ち、新たなステージに入りました。今シーズンは、その飛躍の年を飾るのにふさわしい作品をご用意しました。札幌の演劇界を代表する劇団の競演です。とくとご賞味ください。
 私どもが札幌演劇シーズンを立ち上げたのは、演劇創造都市サッポロを創生したかったからです。演劇を、音楽、美術などいろんな分野の芸術とともに札幌の地に根付かせたい、そして道内に広めていきたい。演劇を通して、市民の日常生活に潤いや思考の時間を提供したい。そんな思いからでした。
 願いを実現するには、公演する演劇作品の質の高さと公演の場確保が絶対条件です。それには演劇人が劇づくりに打ち込める環境が必要です。劇作家、演出、俳優、音楽、照明、大道具……彼らが出来るだけ多くの時間を演劇活動に専念できる環境に置いてあげたい、と考えてきました。
 その具体化を図って、札幌演劇シーズンを続けてきましたが、まだ、「演劇で飯が食える」状況にはありません。難問です。
 でも、将来への明るい兆しは見えてきました。例えば、観客動員が発足時の倍以上になりました。全国でも珍しい「シーズン制」公演が認知されてきた証です。
 質の向上は、1回の公演で1千人以上の集客力のある劇団が7団体になったことからもうかがえます。リピーターが多いのです。
 2012年のスタート時は2作品の公演でしたが、このところ1シーズンに5作品が常です。作品選定の際の基準は「過去の公演で好評を得たものの再演」となっています。最近は参加に意欲的な劇団が多く、一度落選しても再挑戦してきます。その心意気やよし、です。演劇シーズンで公演すると、各劇団が持っている集客力を超えた新たな演劇ファンとの出会いができる、そのことが魅力となっているようです。ともすると自分たち本位の作品上演をしがちだった劇団が観客本位の上演を意識し始めたのであれば、演劇シーズン開催の意図に沿うものです。
 公演会場も増えました。当初の2会場から、今回は「かでる2・7」、「cube garden」が加わり、使用劇場は計9会場にまで広がりました。各劇場には固有のファンがいます。演劇シーズンの認知拡大を期待しております。
 多くの方々からの支援に感謝しつつ、演劇シーズンは札幌の冬、夏を彩る象徴イベントとして今後も努めて参ります。
 今回も自信作を並べました。過去の48公演で好評だった作品を、シーズンの十八番(おはこ)として再々演する「レパートリー作品」は千年王國『狼王ロボ』を掛けます。他の4作品も劇団創立20周年の札幌座、前回の『青森県の背むし男』で若いファンを魅了した風蝕異人街、3年連続3度目の弦巻楽団、そして初参加の若手集団NEXTAGEと老若男女の観客が楽しめるラインナップです。観た後は、彼らの成長のために、感想文を書いて、札幌の演劇発展の共同作業者となってください。お願いします。

秋元克広札幌市長

札幌市長

秋元 克広

 札幌の街を雪が真っ白におおう本格的な厳しい冬が、間もなく訪れようとしています。
 一方でこの季節は、最も札幌ならでは魅力にあふれる、素晴らしい季節でもあります。

 『札幌で生まれた演劇を、より多くの方に楽しんでいただきたい。』
 そんな思いからはじまった「札幌演劇シーズン」。
 札幌で生まれた優れた演劇作品の中でも、特に高い評価を得ている傑作の上演を重ね、今回記念すべき5周年を迎える運びとなりました。
 「さっぽろ雪まつり」や29年2月に開幕する「冬季アジア札幌大会」などと時期を同じくして開催される「札幌演劇シーズン」が、これまで以上に国内外へ、真っ白な雪とともに札幌の多彩な魅力を力強く発信していくものと、大きく期待に胸を膨らませております。

 演劇に携わる多くの方々の日々の研鑽により、札幌市内では一年を通じて素晴らしい演劇の数々が創造・上演されており、中でも、選りすぐりの名作を上演する「札幌演劇シーズン」は、札幌を代表する魅力的な文化芸術資源として、多くの皆様に愛されるイベントに成長を遂げています。
 素晴らしい作品との出会いにより、この5年間ですっかり演劇のとりことなり、夏冬と年2回開催される、演劇シーズンの到来を心待ちにされている方も、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
 私もその一人として、パンフレットを片手に、演劇シーズンの開幕を今か今かと楽しみにしております。

 今回のシーズンでは、親子連れで音楽とともにお楽しみいただける作品や、海外の方にもお楽しみ頂ける字幕付きの名作の他、実力ある札幌の若手の演出家・劇団が活躍する話題の名作、昨年度寺山作品で大旋風を巻き起こした劇団の再来など、これまで演劇をご覧になったことのない方、普段なかなか観劇する機会のなかった方にも、「お気に入りの作品」「お気に入りの劇団」を見つけていただけるよう、多彩なラインナップを取りそろえております。
 ぜひこの冬、ご家族連れ、またお友達とご観劇いただき、演劇でしか味わうことのできない臨場感を肌で感じ、その感動を共有していただきたいと思います。
 日々新たな進化を遂げる演劇作品の数々が、多くの市民や観光客の皆様の心をあたたかく灯す演劇シーズンとなりますよう、心よりご祈念申し上げます。

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