寺山修司の描く母への愛は、この世ならぬ憎悪と侮蔑の結晶としての慈しみである。この作品は母の息子殺しの因果を描き、一方で嬰児殺しから出発した。この母性憎悪と父性偏愛のテーマが「潤色」としてのこの「物語」を貫くひとすじの炎である。そして風土べったりの中に渦巻く呪いが、観る者の目から血を噴くばかりの恐怖を呼び、すさまじい普遍性を持つのである。これはまさに現代のギリシャ悲劇でもあるのだ。

■キャスト

三木美智代／堀紀代美／平野たかし／斉藤秀規／小山由美子（フリー）／栗原聡美（劇団新劇場）／国門綾花（COLORE）
柴田知佳（劇団アトリエ）／小池瑠莉（劇団resonance）／町田良介／汝／小林利津子／岡田有香／福田泰子／西條よし江
九十九銀礼／祓川さをり／倖田直機
【演奏】 薩摩琵琶 黒田拓／ジャンベ演奏 石橋俊一／二胡演奏 凛子

■スタッフ

照明：こしばきこう、佐藤律子　音響：佐藤慎哉　舞台監督：菅野恭介
制作：実験演劇集団「風蝕異人街」