明後日の方向から飛んでくるよな出来事とか、ふいにやってくる苛立ちとか、日々はなかなかに手懐けられないけれど、できれば明日という一日は健やかに穏やかに暮らしたいです。
　幼い頃のように、明日はいい日になりますように、と声に出して眠らなくなっただけで、願いは常に、そこ、にあって、その願いの連なりで、何年も、何十年も過ごしていけるのではないかしらん、と希望を持って思っています。そう考えると、今年も一年、良い年になりますように、なんていうお正月の願いはなんと大雑把で贅沢な願いなんでしょうか。謙虚さのかけらもありません。聞いてくれる神様もおおばんぶるまい、ヴァリューセットなお正月。
　『言祝ぎ』はお正月に集う三姉妹の物語です。あたらしい日々を迎えられない人と是が非でもあたらしい日々を迎えようとする人。あたらしい日々を迎えるには、何かを終わらせなければならないのです。今日を終えて眠りにつくように、静かに。